体験レポート

カジュアルグランピングという入り口〜北陸グランピングプロジェクトの挑戦【前編】〜

定番過ぎる観光から、一歩外へ出ませんか?

国内の地方観光は、各自治体もプロモーションを強化して盛んに行われている昨今。
でも手にする情報といえば、旅行ガイドやまとめサイトなどの名物観光スポットやグルメ情報ばかり。それで本当にその地方の魅力を十分理解できたと言えるのでしょうか?各地方には、まだまだその地域に根付いた魅力がたくさん存在しています。

地方の魅力を伝えるグランピングで地方活性化

言わずもがな、地方には豊かな自然があふれています。そして、そのエリアならではの食材があります。そんな地の利を活かした、地方の魅力をより多くの人に届ける手段はないか?その選択肢のひとつに、北陸地方は今話題の「グランピング」に着目しています。

届けるグランピングは『ロケーション×食事×アクティビティ』

グランピングが日本でも話題になり始めたのはつい最近のこと。海外では古くから行われていたスタイルですが、日本では定義すらまだ曖昧です。唯一共通の解釈としてあるものとすれば、「キャンプ道具を持たず、手ぶらで訪ねておもてなしを受ける」というスタイルのように思えます。北陸のグランピングもここの軸はブラさずに、地の利を活かした独自のグランピングを提唱しています。

それが「ロケーション×食事×アクティビティ」です。

海と山、自然豊かなロケーション

日本海に面した北陸地方は、当たり前ですが海がすぐそこに広がっており、内陸では手つかずの山々が広がっています。この海、山、双方のロケーションを活かしたアウトドア体験、グランピングが可能です。

海の幸を中心に楽しむ食事

石川県の奥能登珠洲市の海は寒流と暖流のぶつかる格好の漁場で、日本で獲れる魚の80%を食する事ができます。他方、山にある自然にも恵まれたエリアになるので、まさに北陸は独自のグランピングを提供することができるのです。

地方ならではのアクティビティ

キャンプイベントなどでも活発に行われているアクティビティ。アウトドアレジャーを楽しむものもあれば、最近ではワークショップが盛んで老若男女問わず楽しんでいる光景を見ることができます。地方といえば伝統工芸など、その地方に根ざした文化が多々あることは周知のことでしょう。そんな代々伝わる文化を体験することができるアクティビティが提供できるとすれば、それはその地方ならではのグランピング体験となります。

それではここからは、そんな地方活性化を目指した北陸のグランピングプロジェクトについて、前編・後編に分けてご紹介したいと思います。

【北陸グランピングプロジェクトその1】金沢ベイエリアで興すグランピング

「金沢ベイエリア」とは、金沢市大野町・内灘町・津幡町・かほく市の海岸周辺エリアのことを指し、金沢市の中心から一歩出れば自然豊かで美しい景色が広がっており、金沢リピーターのスポットとして今取り組んでいます。
そんな金沢ベイエリアに位置する、”プチ北海道”とも言える畑に囲まれた場所に、グランピングスポットである「ハーブ農園ペザン」があります。

‘プチ北海道’の名の通り広い空と緑が一面に広がっています
ハーブの香りが広がる農園が今回のグランピングの舞台

テーマは「カジュアルグランピング」

グランピングは「グラマラス(glamorous)」と「キャンピング(camping)」を合わせた造語であり、すごく豪華で高価なキャンプスタイルというのが一般的。
しかしながら、それでは敷居が上がってしまうがゆえに、プロジェクトの考えでもある「金沢市中心から一歩出てもらう」という目的はなかなか実現されないことになります。そこで、もっとライトにグランピングを楽しんでもらう「カジュアルグランピング」というスタイルを、このハーブ農園ペザンでは打ち出しています。
この日のランチタイムでは、金沢市内の商工会の方々を中心に、カジュアルグランピングを体験。宿泊するわけではないので内装などはシンプルになっており、4000円という料金でグランピングスタイルでの食事を楽しむことができます。

食事はアウトドア料理を中心にその場で調理

素材の味を活かしたアウトドア料理は、併設されたキッチンで調理され提供されます。晴天の広い青空の真下、皆で料理を囲んで楽しく過ごせるのはアウトドアの醍醐味のひとつ。それを会場が提供してくれるのがグランピングの嬉しいところです。

有機無農薬の青トマトは地元で収穫したからこそ味わえます
チーズフォンデュを手軽にキャンプスタイルで仕込みます
豪快に厚く切られた、厳選された豚肉。
キャンプ料理の定番、ダッチオーブン料理も
お客さんがうまく寄えなかったチキンをしっかりサービング

時間の流れを感じながら、楽しい食事の時間はあっという間に過ぎていく

アウトドアの魅力は、その「時間の流れ」を肌で感じることだと思います。
それを誰でも体験できるのは、実は今までありそうであまり機会がなかったように思えます。そういった意味でもカジュアルグランピングが果たす役割は大いにあるように感じます。金沢観光で1日楽しんだ翌日は、ちょっと足を伸ばして広大な自然の中カジュアルグランピング。日本の文化的な歴史にも触れながら、自然とも触れられる、素敵なプランです。

夜の部はより本格的なグランピング体験を

ハーブ農園ペザンでは、昼のランチタイムだけでなく、夜の部のグランピングも用意されています。
こちらは昼のアウトドア料理中心のスタイルから、本格フレンチ料理へとグレードアップ。よりディープな大人な時間を楽しむことができます。

夜だからこそ映えるグランピング体験

空が広いロケーションとタープ・テントとの相性は抜群
昼間とは違った顔がハーブ農園ペザンで現れます
各テーブルに優しいキャンドルのライトが灯ります

味わうだけではない、見せる本格料理

本格フレンチ料理を提供してくれるのは、東京・東麻布にキッチン・モグーというお店を構える森シェフ。シェフ自ら本日のメニューをご紹介頂くと気分が高揚してきます。

プロのフレンチ料理人からのメニュー紹介
ずらりと並んだフレンチ料理。お客様は好みに応じて楽しむことができます
幻想的な光のグランピングアイテム「ログキャンドル」を灯し、
その火でラクレットチーズを溶かすパフォーマンスも
食後のデザートはソースが選べる手作りワッフル

ふと空を見上げれば満天の星空が

都心ではまず見ることができない、広い夜空に浮かぶ満天の星空。さすがプチ北海道、観光客で賑わう金沢からほど近いとは思えない美しい景色を眺めることができました。

周辺は一切ビルが無いため、広い夜空に浮かぶ星たちが視界いっぱいに広がります

地域に根ざしたグランピングの可能性

グランピングというと、高級ホテルやリゾートが提供する豪華なアウトドア型ホテル、という印象があるかもしれません。日本でもそういった形態が今年さまざまなメディアで取り上げられていたのが事実です。
ですが、そのプレーヤーはそのような高級路線だけではありません。アウトドアで、気の合う仲間と楽しみながら、非日常の食事と時間・空間を過ごす。そういった観点で見れば、地域に根ざしたグランピングというのは非常に相性が良いのではないでしょうか。地元で取れた食材をプロの料理人が調理し振る舞う、地方が誇る絶景ポイントや大自然の中でアウトドア体験を楽しむ。それは、「業者によって作られた体験」ではなく、「既にそこにあったはずの体験の機会を最大化する、価値を最大化する」ということ。
グランピングは、あくまでキャンピングがベース、そこには「作られ過ぎた自然体験」ではない、「自然な自然体験」というものがあってこそだと思います。

【次回、後編】老舗ホテルのグランピングへの挑戦・水面下で計画されているグランピングプロジェクトとは?

「北陸グランピングプロジェクトの挑戦」、後編となる次回は、ある老舗ホテルのグランピングへの取り組みと今後計画されているエリアについてレポートします。


今回ご紹介の「ハーブ農園ペザン」

ハーブ農園ペザン
石川県河北郡津幡町湖東197 TEL 076-289-6287
http://paysan21.jimdo.com/

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ライター:
羽田裕明

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