雲か靄なのか判別がつかない白い物体が
谷からあがってきたと思ったら
あっという間に前を歩く人をのみ込んだ。
ドキッとして歩みを早め、追いつくと
白い物体は薄いベールのように
自分たちのまわりを覆っているだけだった。
その場所から、一番近くのピークを見上げる。
頂上はまさに白い物体に覆われるところで
今度は山がのみ込まれた。
「山が消えちゃったよ、どうしよう。」とふざけていい合う。
山と自分たちは白い物体の間、見え隠れして
そこにあったり、なかったりしている。
この先に道は続いているのだろうか、
一体どこへと続く道なんだろうかと
ふざけ半分、でもどこか大真面目に考えながら
歩いた。