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  • 登山好きが贈る、登山の体験レポートです。日本、そして世界の山々にはたくさんの魅力にあふれています。春夏秋冬、その時々で異なる顔を見せてくれる素敵な山がたくさんあります。まさに百景。.HYAKKEIでは、そんな山に実際に登り、五感で楽しんだ自然体験記をお届けします。きっと山に登りたくなりますよ!

【総延長1697.2km】東海自然歩道を踏破せよ!|#06 畦ケ丸〜菰釣山編

.HYAKKEIをご覧のみなさま、こんにちは。ライターの田中嘉人です。

前回は丹沢登山の拠点である西丹沢ビジターセンターに到着。さらに少し進んで大滝橋というバス停まで来ました。今回はいよいよ丹沢山系とお別れし、山梨への県境越えを目指すルートにチャレンジしたいと思います。目指すは山中湖!富士山も近いので、きっと写真映えもするはず!みなぎる〜!!!

……が、お気付きの方もいるかもしれませんが、天気がまさかの小雨。天気予報だと「曇り」だったのに!本来なら引き返すべきなのですが、この日を逃すとかなり時間が空いてしまいそうだったので、無茶を承知で決行することにしました。

<今回の予定コース>
大滝橋→大滝橋上→畦ケ丸→大界木山→城ケ尾峠→菰釣山→山伏峠分岐→高指山→平野

畦ケ丸を目指して

というわけで、やってきたのが小田急の新松田駅。ここから前回離脱した西丹沢ビジターセンターを目指します。

今回は7:25発の西丹沢行きに乗車します。

かなり悪天候。僕以外のバスの乗客は通学中の小学生たちだけ。こんな天気で山へ登ろうとする人はいません。

新松田駅から約1時間ほどで大滝橋に到着。運賃は1000円を超えました。

今回のコースを事前に調べたところ、かなり過酷なコースになりそうな予感。季節はまだ3月上旬なので、17:30くらいには日没を迎えてしまう……ということは16:30くらいには到着していないとかなり危険です。ただいま時刻は8:30。気合をいれて臨みたいと思います。

コースに入ると、おなじみの案内看板がお出迎え。とりあえず、畦ケ丸(あぜがまる)の峠を目指したいと思います。

この先にどんな道が待っているんだろう……不安を抱きながら、いよいよスタートです。

沢を横目にドンドン進んでいきます。

前日も雨だったのに、丹沢の水は相変わらず綺麗です。

しばらくすると、正面にえげつない階段が見えてきます……「あ、今日やめようかな」と思いました。

おっと、こちらは東海自然歩道ではない模様。よかった。安心して、来た道をまっすぐ進んでいきます。

おなじみの看板が登場。この看板を信じて進めば間違いありません。畦ケ丸の前に大滝峠上というところを通過するみたいですね。

だんだん道にある石がゴツゴツしてきました。歩きにくい。

道がギュッと細くなります。そして、砂利道から山道になり、足場はグチョグチョ。さっそく靴が濡れました。

でも、雨を避けられるので、悪くはないですね。ネガティブにならないようにいいところを探しながら歩いていきます。

結構歩いたつもりが1kmにも到達してないっていう東海自然歩道あるある。

前日の雨の影響か、滝の迫力がすごいです。

滝が連続していて、夏場とかに来たらめちゃめちゃ気持ち良さそう。

道がとたんに狭くなる。足を滑らせたら滝つぼまでまっさかさまなので、慎重に、慎重に……。

案内看板が黄色に変わりました。見つけやすくていいですね。

不思議なもので、歩いていると元気が出てくるんですよね。「意外と余裕じゃね?」と思っているときの一枚です。

「これイケるわ」と思っているときの一枚。自撮りのバリエーションがなくなってきました。

……と、思ったらいきなり鎖場(くさりば)の登場。急にハードモードになるのも東海自然歩道の特徴。もうこのくらいでは驚きません。

そして、また険し目の道に……。雨で落ち葉が濡れているので、落ちないように壁側に体重を乗せながら歩きます。

沢をジグザグに行き来しながら登っていきます。黄色い看板が目立つのでありがたい。

途中道らしき道はなくなるんですが、とりあえず前進すれば大丈夫です。

しばらくすると、歩いてきた方向と鋭角に伸びる上り坂が左手に。

坂道を登りきったところには案内看板が。再び鋭角に切り返して進んでいきます。

心なしが霧が濃くなっている……?気のせいかな。

気のせいじゃない!めっちゃ霧が出てる!!

霧の奥深くになにやら急な階段が見える……。これ、しんどいやつでは……?

そうでもなかった。

霧が濃すぎてピントが合わないけど、こんなところを歩きます。意外としっかりしてる。

岩と岩の間を抜けて、

霧のさらなる向こう側へ。しばらく進んでいくと……?

出た〜!避難小屋!一軒屋避難小屋というところです。休憩するほど疲れてはいないけど、寄ってみよう!

なかなか渋い雰囲気!

……あ、開かない……!それに真っ暗でめっちゃ怖いんだけど……。立ち寄るのは無理だな。

くまったくまった。

気にしないで先を急ぎましょう。僕には時間がない。

沢を渡る。

つまり橋はない。

左を見ると、少し雪が残っているところも。

道らしき道はなくとも、ひたすら前に進むしかない。

丹沢名物(?)のミツマタが。自然に生えちゃっているわけではなさそう。

なかなか大滝橋上にたどり着けない……。

そして行き先にはハシゴのようなものが……。だんだんハードになってきた……。

急に険しすぎじゃない?

登ったと思ったら下る……。

そしてようやく大滝橋上に到着。汗なのか雨なのかわからないけどびっしょり。

眺めも全然よくない……。

ただ、ちゃんとコース通りに歩いていることを確認できて嬉しい。信玄平というコースもあるみたいだけど、荒廃しているそうなので、当初の予定どおり畦ケ丸を目指します。

しかし、行く手を阻むのはかなり急な登り坂……。

延々と続く登り坂。全然終わらない……。

平地のように見えるかもしれませんが、これも登り坂……。

「もういいでしょ」って思ってからが長い……。

とどめ。このあたりで諦めそうになる。

畦ケ丸の避難小屋かと思ったら、この先0.2km……。

しかも、下って登らされる最悪なやつ……。

この階段、どこまで続いているんですか……?

ようやくゴールらしき丘に……。

あっ!!!!

ようやく畦ケ丸の避難小屋に!なかで休憩しようと思ったけど、入り口付近にトイレがあり、強烈な臭いを放っていたので、やめました。

畦ケ丸の山頂へ向かう道もあったけど、極力ムダ足は避けたいので、次のモロクボ沢の頭を目指し、菰釣山(こもつるしやま)まで一気に攻めたいと思います。

そして、ここから僕はこのコースの本当の恐ろしさを知ることになるのでした……。

菰釣山を目指して

心なしか霧が落ち着いてきたようです。視界が良好なうちにどんどん進みましょう!

やる気に満ち溢れた僕の前に立ちはだかるのは、先ほどの登り坂とまったく同じ角度の下り坂……。

そして、鎖場も。滑り落ちないように、慎重に下っていきます。

雨も止み、景色も見えてきました。

しかし、さきほど下った分を取り返すかのごとくの登り坂が登場。

登り坂の先に、ようやくモロクボ沢ノ頭がありました。このあたりで気付くんですが、登り坂の途中で休憩しようとしても、足元が傾いていると全然体力が回復しないんです。だから、休憩するなら絶対に平地がおすすめ。平地だとつい前に進みたくなってしまいますが、後々のことを考えて、しっかり休憩するようにしましょう。

僕は登り坂や下り坂の途中でばかり休憩していたので、全然体力が回復していません。先を急ぎます。

しかし、ここから下り坂と登り坂のエンドレスリピートが始まります。下りで足首がやられて、登りで太ももがやられる。

そして、一歩踏み外せば奈落の底に真っ逆さま!

下っては登る。

少ーしだけ平地を歩いて……

下っては登る……。体力だけではなく、気力も削られてきます。

あっ!なんか見えた!!

そして大界木山へ到着!!登頂できるとやっぱり嬉しい!!

先ほどからまた霧が出てきたので、城ケ尾峠、そして菰釣山へ急ぎます。

そして、大界木山からおよそ30分で城ケ尾峠に到着。このあたりは比較的おだやかなコースでした。

少しだけ坂を登ると……?

頂上に到着!高1000mオーバーがデフォルトになってきました。

しかし、その先に待っているのは下り坂と登り坂のセット。

このコースには本当に多い……。このあたりから登り坂は四足歩行になっていたような気がします(僕はビーストモードと呼称しました)。東海自然歩道は人間のプライドも壊します。

そして、今回コースで眺めることのできた唯一の絶景。一応お伝えしておきますと、これ以上の絶景は、この先ありませんでした。

そして、下って……

また登る。

そして中ノ丸というところまできました。作り笑いも限界です。

でも、東海自然歩道はこっちの都合なんておかまいなし。

お!ついに菰釣山避難小屋が近くに!ここまで来れば菰釣山登頂もすぐ!!

そして山梨県道志村への離脱ルートが。ここで離脱するのもありだけど、体力的にはもう少しいけそうなので、前へ進むことにします。

ちなみに水場もあるみたいですが、あまり時間はかけたくなかったので、今回はカットします。すみません。

避難小屋を目指し、やたら険しい道を登っていきます。ここはビーストモードを使いました。

あった〜!!菰釣山避難小屋!!

めっちゃきれい!!

掃除が行き届いている!利用者ひとりひとりのマナーの賜物ですね。

そしておなじみのコンロ台も。

屋根や壁があるって嬉しいですね。雨風が防げる!ビーストモードでかなり体力を消費したので、しっかり休憩!

そして念願の菰釣山を目指します。相変わらず登り坂だけど、行くしかない……!!

雪が完全に残っている……手袋(というか軍手)が濡れてしまうため、ビーストモードも使えません。一歩一歩登っていきます。

あ!これは間違いなく頂上だ…!!

はい〜!到着〜!!疲れた〜!!!

今日のコース全体を見ると、ちょうど中間地点くらい……おそろしい……。

しかし、青空が見えてきました!気を取り直して、前進します!!!

高指山を目指して

次に目指すは高指山(たかさすやま)。高指山まで行ければ、山中湖はすぐ!もう僕には前に進むしか選択肢はない……!

それでも容赦なく、登り坂が立ちはだかる。

何度も、何度も……。

しかも、油沢ノ頭に到着するころには再び雲行きが怪しく……。

雷みたいな音が遠くで聞こえる……たぶんヘリ……ヘリだから……。

僕が弱気になると、東海自然歩道は強気になるみたいです。

樅ノ木沢の頭という場所。

霧のなかにそびえ立つ巨大なモミの木の迫力たるや。

と、思ったらまた登り坂。このあたりからリアルに体力・気力ともに限界を感じ始めます(写真の枚数が減ります)。

「あー写真撮らなきゃ」と思って撮った一枚。なんだこれ?

「看板があったらシャッターを切る」「看板があったらシャッターを切る」「看板があったらシャッターを切る」「看板があったらシャッターを切る」「看板があったらシャッターを切る」「看板があったらシャッターを………。

いよいよ霧がやばい感じになってきます。

恐怖が疲労を上回り、意識がしっかりしてきました。この先進むのは危険な予感。しかし、コースアウトしようにも菰釣山避難小屋のところまで戻るか、この先の山伏峠分岐まで行くかしかありません。

菰釣山まで3.2km、山伏峠まで2.8km。ということで、急遽山伏峠での離脱を決め、急いで向かうことにしました。

こんな霧のなか歩いたことなんてない。ライトに明かりを灯もしながら進みます。

一応看板の写真は撮影します。

「すごい木だなぁ」と思ったので、撮影しました。

だいぶ端折ってしまったけど、山伏峠までもうすぐ!

霧のなかをゆっくりと下ると……

人工物!めっちゃ嬉しい!!

でも、この景色を目の当たりにして「高指山へ向かうのは無理だ」と判断。

そしてようやく山伏峠分岐へ。ここを山伏峠方面へ向かえば、国道413号線(通称:どうし道)へ離脱することができます。迷わず山伏峠方面へ。

霧のなかを突き進んでいきます。

動物の足跡かな〜?クマやイノシシだったら怖いな〜やだな〜と思っていたら、進行方向から「ガサガサっ!」という音が……!!

わー!野生のシカだ!!!なぜかカメラ目線!!離脱してよかった!!

シカに別れを告げてしばらく進むと、下山道の看板が。

うっすらと国道が見えてきました。

そして……ようやく下山……。

どうにか山中湖村と道志村の境までは来れましたが、ぐったり。

あらためて超過酷だった今回のコースなのですが、事前調査によると菰釣山避難小屋で一泊するか、もしくは菰釣山から道志村まで下山してキャンプ場や旅館などで一泊するのが一般的だそう。天気が良くて、山道に慣れていればいけるとのことだったので挑んでみたのですが、まだまだ実力不足だったみたいです。

山伏峠にはバス停はあるけど最終便がもうなかったので、タクシーを呼んで、山中湖の宿まで向かいました。そういえば、今回は初の泊まりでスケジュールを組んだので、明日山伏峠からチャレンジしようと思います。

というわけで、あくる日。ぐっすり休んで体力は回復!よーしいくぞー!!

と思ったのですが、気温は0度。

山には霜が降りており、ホテルのオーナーも「今日はやめたほうがいい」と大反対。昨日無理して痛い目を見たので、今日はやめるという決断をしました。

というわけで、いかがだったでしょうか?かなり過酷なコースで恐怖や不安もありましたが、体重を測ったら3kgくらい落ちていました。手っ取り早く痩せたいという方にはピッタリのコースなのかもしれませんね。しかし、離脱しづらく、かなり険しいコースなので、もしチャレンジしようと思った方は、2日かけて踏破するスケジュールを組むことをおすすめします。間違っても僕のように無茶して歩き続けるようなことはしないでくださいね。

ちなみに僕は予定が空いてしまったので、石割の湯でひとっ風呂浴びてから帰りました。次回は山伏峠から高指山を目指し、大平山や忍野八海を抜けて、富士吉田(河口湖方面)を目指したいと思います。では、またお会いしましょう!!

<今回のコースの振り返り>

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