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『共創型カメラ』OLYMPUS AIRがアウトドアシーンを変える?専用アクセサリ開発プロジェクトに迫る

(出席者紹介)
・ オリンパスOPC Hack&MakeProjectより、石井謙介氏・篠崎新氏・清水さおり氏
・ 株式会社A(Wemake開発運営会社)より、外山雄也氏
・ 株式会社セフリ(YAMAP開発運営会社)より、春山慶彦氏

*以下、敬称略

ユーザーとメーカーが共創する新しい写真体験を!

春山:
まずはじめに、OLYMPUS AIRを開発するに至った経緯を教えていただけますでしょうか。

石井:
オリンパスを含め今までのカメラメーカーは、一眼レフカメラやコンパクトカメラなど「完成系のカメラ」を製造・販売してきました。ですが、スマートフォンが普及したことで、カメラのあり方やカメラメーカーとしてのビジネスのあり方も変わっていかなくてはいけないと感じています。
今後のものづくりには、「ユーザーに参加してもらい、一緒につくっていく」という共創の姿勢が何より大切だと思っています。その思いを形にすべく、2012年に「オープンプラットフォームカメラ」というコンセプトを社内で提案し、新しい商品カテゴリーとして2015年3月に発売しました。また、OLYMPUS AIRと連動する形で、「OPC Hack & Make Project」(https://opc.olympus-imaging.com)を立ち上げました。これはオリンパスの技術をオープンにして、デベロッパーやクリエイター、ユーザーと共に写真体験を開拓していくプロジェクトになります。開発の余白が大きい「OLYMPUS AIR」というカメラと、ユーザーとの共創の場である「OPC Hack & Make Project」。この両輪をうまく回すことで、新たな写真の可能性が広がると考えています。

春山:
コンセプト以外では、御社の今までのカメラと大きく違う点はどういったところでしょうか。

石井:
OLYMPUS AIRは、機能をできるだけ絞っています。必要最小限の機能で高画質なカメラを提供し、ユーザーが自分の撮影スタイルに合わせて、カスタマイズすることができるのが大きな特徴です。
OPC Hack&MakeProject担当:石井謙介氏
OPC Hack&MakeProject担当:石井謙介氏

春山:
プロジェクトを立ち上げ、製品化するにあったって、どういった点で苦労されましたでしょうか。

石井:
OLYMPUS AIRは弊社として新しい試みになります。ユーザーが参加できるようオープンにした際どんなリスクがあるのか、どんな利用規約を準備すれば良いかなど、既存事業や各部署との整合を取りながら進める必要があります。
また、このプロジェクトを成功させるためには、単に製品を売るのではなく、デべロッパーやユーザーと一緒にコミュニティをつくっていかなくてはいけません。OLYMPUS AIRの良さや楽しさをどう伝え、どのように共感していただくか。コミュニティをつくるにあたっては、その点が大切になると感じています。

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ソフト面だけでなくハード面でもユーザーと共創できる時代が来た

篠崎:
私はOLYMPUS AIRのソフトウェア開発キットに携わっています。
デべロッパー向けに、ソフトウェア開発キットをどのような内容でご提供するのが良いのかを模索しています。
はじめは、通信仕様のみを公開する予定でした。ですが、そうなるとソフト開発できるのが一部のスキルのある人に限られてしまう。メンバーと議論を繰り返し、一般のプログラマーの方たちも参加できるように、整ったプラットフォームを用意した方が良いのではないかと、iOS端末とAndroid端末向けのSDKをつくりました。
一方で、限られたプラットフォームだけではなくユニバーサルな「オープンプラットフォーム」を実現するために、可能な限り仕様書を公開し、ライブラリの情報もユーザーと共有するにいたりました。実際にプロジェクトを走らせながら考え、柔軟に対応するよう心がけています。

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OPC Hack&MakeProject担当:篠崎新氏
OPC Hack&MakeProject担当:篠崎新氏

春山:
ソフトウェアの分野に関しては、オープンにしてユーザーの集合知でより良いものを開発するという文化が、ある程度根付いています。ですが、ハードの分野において、オープンの思想で共創しようとする試みは、まだハードルが高いように思うのですが、いかがでしょうか。

清水:
私はOLYMPUS AIRのソフトウェア開発キットに携わっています。
そうですね、ある程度の難易度は理解した上で、ハードの面でもオープンにして共創しようというコンセプトは、当初よりありました。ですので、オリパスエアーの形も極力シンプルにし、ユーザーがアクセサリーをつくりやすいようになっています。メイカソン(*1)などにも扱っていただいたところ、参加者の皆様からも非常に好評でしたので、ハード面での共創にも可能性があると感じていました。

Wemakeさんとご一緒した理由は、質の高いアクセサリーづくりに力を入れていきたいとの思いがあったからです。また、メイカソンなどのイベントでは、いろんなユーザーに継続して使っていただくのが難しいと感じていました。WemakeさんとYAMAPさんにご協力いただけるのは、作り手やユーザーとのつながりを維持できるので非常に魅力的ですね。

*1:Make a Thon:MakeとMarathonの造語。新たなアイデアを制限時間内につくりあげ、作品のコンセプトやアイデア性、完成度を競うイベント

OPC Hack&MakeProject担当:清水さおり氏
OPC Hack&MakeProject担当:清水さおり氏

外山:
Wemake(https://www.wemake.jp/projects/5)はものづくりに特化したプラットフォームです。OLYMPUS AIR専用のアクセサリーをユーザーと共創する点で、貢献していきたいと思っています。
Wemakeのコミュニティメンバーには、プロダクトデザイナーやハードエンジニアの方がいらっしゃいます。OLYMPUS AIRの楽しみを広げるアクセサリーが、どう生み出されるのか今から非常に楽しみです。
2016年春に、最初のアクセサリーを完成させる予定です。

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株式会社A「Wemake」コミュニティマネージャー 外山雄也氏
株式会社A「Wemake」コミュニティマネージャー 外山雄也氏

今回の専用アクセサリーづくりの流れ
今回の専用アクセサリーづくりの流れ

ユーザーがカスタマイズできるカメラだからこそ、より深い愛着が生まれる

春山:
2015年3月に発売を開始して、9ヶ月くらい経ちますけれども、ユーザーの実際の反応はいかがでしょうか。

清水:
特徴のあるカメラのため、愛着をもって使用してくださっている方が多い印象です。機能を絞り込んだこともあって、カメラの良さや足りない点など、ユーザー同士で活発な意見交換がなされています。

春山:
昨年12月、私もOLYMPUS AIRを持って登山に出かけてみました。
(https://yamap.co.jp/activity/214689)

OLYMPUS AIRにて撮影
OLYMPUS AIRにて撮影

使ってみて、アウトドアとの親和性が非常に高いなと感じました。軽量かつ高画質というのも魅力的ですが、通常のカメラやスマートフォンと違い、アングルから解放されて自由に写真を撮れる楽しみがありました。カメラが変わることで、自然との向き合い方が変わるのも、新鮮な驚きでした。OLYMPUS AIRを使ってみて、カメラは進化の途上であることを深く実感しました。

スマートフォンの普及によって、カメラは次の進化へ

春山:
「スマートフォンとカメラを組み合わせ、新たな写真体験をどのように生み出すか」という点は、まだまだ開拓の余地があり、可能性もあると感じています。「スマートフォン✖︎カメラ」という点においては、篠崎さんはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

篠崎:
スマートフォンと連携させることで、一眼クオリティの画像が、SNSなどで簡単に共有することができる。その即時性が、「スマートフォン✖︎カメラ」の最も優れている点だと思います。いままでスマホで撮影していた写真が一眼画質に変わると、自分の感じた感動や熱量をできるだけ損なうことなく、周りの人にもっとストレートに伝えられると考えています。
OLYMPUS AIRは、ハードやソフトなど多くの領域でスマートフォンと連動できる設計になっています。今後、対応アプリをより充実させ、今以上に楽しい使い方をご提案できればと思います。

アウトドアで求められる軽量さと高画質を実現

春山:
OLYMPUS AIRが活躍できるジャンルは様々あると思うのですが、アウトドアにターゲットを絞った主な理由は何になりますでしょうか。

石井:
OLYMPUS AIRの最大の強みは、軽量で携帯性も良く、しかも高画質であることです。自分の心が動いたとき、さっと写真を撮ることができる。その強みを考えたとき、アウトドアとの親和性が非常に高いのではないかと感じていました。アウトドアの愛好者は、高画質にこだわる方が多くいらっしゃいます。出会った風景を写真におさめたいというニーズも一般よりも高い印象があります。
篠崎:
アウトドアと言っても、風景や花、野鳥など様々な被写体があります。OLYMPUS AIRはアングルから解放され、自由な視点で写真を撮ることができます。被写体に合う形で撮影できる楽しさがOLYMPUS AIRにはあるので、アウトドアユーザーの方には特に喜んでいただけると思います。

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春山:
反対にアウトドアでの使用時、デメリットになり得る点はどこになりますでしょうか。

石井:
起動直後はWi-Fiの接続に少し時間がかかってしまうことでしょうか。ただ、接続時間が気になる方は、OLYMPUS AIR単体で写真を撮ることをおすすめします。あと、防滴仕様ではないので、そこが心配なところですね。

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春山:
防滴用カバーや操作性を高めるグリップなど、 OLYMPUS AIRのデメリットを補う形で、アクセサリーづくりを進めていかれるわけですね。

石井:
はい。Wemakeさんのお力をお借りしながら、アウトドアに最適なアクセサリーが生まれることを期待しています。

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アウトドアでの大切な瞬間や感動した瞬間はOLYMPUS AIRで!

春山:
最後に、OLYMPUS AIRの今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか。

清水:
一眼レフを持つまでにはいたってないけれど、思い出や大切な出会いを写真に残したいと思う方々に、ぜひ手にとっていただきたいカメラです。OLYMPUS AIRの使い方は十人十色。手にした方がそれぞれに感動した瞬間を写真に撮ってほしいです。
篠崎:
OLYMPUS AIRは完成系のカメラではありません。使う人やシーンによって、「風景を撮るときはこういうインターフェースが良いね」とか、「植物や生き物を撮るときはこんな形が合ってるね」とか、どんどんカスタマイズしていってもらえればと思います。また、コミュニティを通してOLYMPUS AIRのユーザーの輪が広がり、カスタマイズのあり方や方法も共有していきたいと思っています。

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外山:
OLYMPUS AIRの専用アクセサリーづくりを通して、新しい写真体験を生み出すところまで貢献できればと思っています。また、今回のプロジェクト(https://www.wemake.jp/projects/5)では、デザインやエンジニアニングの知識がなくても、「アウトドアでこんな写真体験を実現してみたい」というアウトドアユーザーの方の投稿も大歓迎です。
投票や改善のコメントで協力してくれた方にも、ロイヤリティの収益分配がありますので、興味のある方はぜひ参加してみてください。

春山:
みなさん、ありがとうございました!ワクワクするプロジェクトですので、今後も応援しております!


ものづくりに特化した「Wemake」、そして山登り・アウトドアコミュニティである「YAMAP」。オリンパスOPC Hack&MakeProjectとこの2者がコラボすることで、どういう発見や価値が生まれるのか、OLYMPUS AIRの今後に要注目!です。

写真左よりオリンパスOPC Hack&MakeProject清水氏、篠崎氏、YAMAP代表の春山氏、Wemake外山氏、オリンパスOPC Hack&MakeProject石井氏
写真左よりオリンパスOPC Hack&MakeProject清水氏、篠崎氏、YAMAP代表の春山氏、Wemake外山氏、オリンパスOPC Hack&MakeProject石井氏

OLYMPUS AIRの詳細はこちら

OLYMPUS AIR公式サイト

・PLAY AIR by OLYMPUS
https://opc.olympus-imaging.com/playair/

・オリンパス OPC HACK & MAKE Project Facebookページ
https://www.facebook.com/olympus.hmprj/

・Wemake「OLYMPUS AIRアクセサリー」公式サイト
https://www.wemake.jp/projects/5

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