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1,200kmのロングトレイルを歩く四国一周お遍路旅のすすめ|#04 徳島後編

前回までの記事はこちら!

【お遍路5日目】歩き遍路の心がけ(13番札所~17番札所)

5日目、最初の難所焼山寺を無事終えた充実感で気分良く歩き出しましたが、体が重く疲れはかなり残っていました。

鮎喰川に架かる小さな橋を渡ります。チョロチョロと目の前を横切るものがいました!慌ててカメラを取り出しましたがフレームには納められませんでした。イタチの仲間だったと思います。

無人販売所で売っていた1袋100円の八朔。食べたくなりましたが、こんなにたくさん食べきれないし荷物が重くなってしまうのでがまんです。

まだ午前中だというのに、疲れから体が思うように動かず、足を引きずるように歩いていたところお遍路休憩所をみつけたので、休ませていただくことにしました。

休憩所ではお母さんが暖かいコーヒーやお菓子などをお接待してくれました。ここまでのお遍路の話をしたら「お遍路は人生と一緒。いろんな生き方があるように、その人その人の遍路みちがある。四国の景色や花を楽しみながら自分のペースで歩くといい」と教えていただきました。この言葉が心に染み込むように入っていき、気持ちがスゥーと軽くなりました。不思議なことに体の疲れまでとれてしまったように思えて、急に元気になりました。

この日は十七番札所井戸寺で打ち止め、お母さんに教わった野宿場所で眠りにつきました。

【お遍路6~7日目】足の痛みと雨の試練(18番札所~20番札所)

6日目、河原で肌寒い朝を迎えました。

足の裏のマメが日に日に悪化してきていました。足にテーピングをぐるぐる巻きつける作業が出発前の儀式になりました。

勝浦川橋、川の水がとても澄んでいたので思わず立ち止まります。

18番札所恩山寺を打ち終えると、遍路道は牛舎の横を抜けていきます。この牛さんは、毎日たくさんのお遍路さんを見送っているんだろうなぁと想像したら、なんだか可笑しく思えてきました。

あぜ道のようなところや人家の裏庭のようなところも歩きます。遍路道マークがなかったら、こんなところを歩いていいのかと不安になりそうなところばかりですが、こういうところを歩くのもお遍路の醍醐味の1つ。楽しいです!

昼飯はお遍路休憩所で自炊、イオンで購入した40円の袋ラーメンに干し肉と大葉を入れてみました。安上がりだけどめっちゃ美味しいです。

この日は昨日にも増して体が重いだけでなく、足が痛くて仕方ありませんでした。なんとか19番札所立江寺までたどり着きましたが、寝床確保のため、更に数キロ先の道の駅を目指しました。

夕方になり、急に大粒の雨が降ってきました。車の通りが激しい上に歩道も狭く、レインウェアを着るためにザックを下ろす場所すらみつかりません。メガネにも雨があたり視界が悪くなり、歩いてるだけで危険を感じます。車が通るたびに端によけますが、車の水しぶきをモロに受けてしまいました。体はびしょ濡れ、体が震えるくらい気温も下がり、足の痛みと疲れでなかなか前に進まない。こんなことがあと数十日も続くのかと思うと絶望的な気持ちになりました。

7日目は「一に焼山、二にお鶴、三に太龍」と言われる鶴林寺と太龍寺の遍路ころがしに挑む予定でした。

お花畑の中にかやぶきの遍路小屋。日本昔話に出てきそうな雰囲気です。

ベンチで少し休憩します。休憩ポイントがあるとつい腰をおろして休んでしまいます。

登り道は息があがらないようにゆっくり自分のペースで歩くことを心がけました。不思議なことに登り道では平地を歩くときほど足の裏が痛くありません。道に足を着地するときの角度の違いかもしれません。

長い登りを進んでいくと、ようやく開けている場所に出ました。風が心地よく、とても気持ちのいい場所でした。

この先の遍路道が見下ろせます。鶴林寺の後は、一度山を下りて、写真の真ん中あたりに見えている橋を渡ります。そして次の遍路ころがし太龍寺、右奥の山に登ることになります。今日中にそこまでたどり着けるだろうかと、不安が湧き上がってきます・・・。

鶴林寺からは一度山を下ります。今は足の痛みのせいで登りよりも下りのほうがきついのです。足を1歩踏み出す度に、荷物と自分の全体重を合わせた負荷が、踏み出した足にかかってきます。コンクリートの急な階段では転びそうになりながら、金剛杖に頼りながら横向きでゆっくりゆっくり慎重に下りました。わずか2キロ弱を下りてくるのに1時間半もかかってしまいました。

色鮮やかなサクラ、右には太龍寺山がみえます。

休校になっていて宿泊もできる小学校に到着しました。今日はまだわずか数キロしか歩いていませんでしたが、今の体力ではあの山を越えられる気がしません。それに小学校に泊まれることなんてなかなかないでしょう。太龍寺をあきらめ、今日は休足日とすることにしました。

8日目。昨日十分休養した効果が出ているようで、ここ2,3日では一番調子がよさそうです。

那賀川を渡ります。大昔からほとんど変わらないであろう遍路道からの風景です。

風情があって素敵な苔むす東屋で少し休憩します。

鶴林寺から大龍寺まで一気に歩いていたら相当きつかったと思いますが、麓から登ってくるだけならそれほど大変な思いをせずに大龍寺までたどり着きました。

太龍寺から下りてくると、面白い形の遍路小屋を発見しました! 地元の名産「大根」をイメージしたデザインなのだとか。

この日は22番札所平等寺で打ち止めでした。

9日目。

遍路道に無人販売所があると、何が売ってるんだろう?とワクワクしながら覗いてしまいます。今回はキャベツでした。しかも千切りに切ってあります。スーパーで100円くらいで売ってる千切りキャベツの5倍くらいの量があって50円です!即買いしました。

遍路道を歩いていると、変わった絵が描かれた標識に気づきました。「カニに注意」とあります。6月から9月の月夜になるとアカテガニが産卵のために海や河口に移動するそうです。

いよいよ徳島の海に出ました!

海をみるのは四国に来るときに瀬戸大橋を渡って来て以来でしょうか。山もいいけど海も素敵です。自然とテンションが上ってきます!

昼飯は海の見える休憩所でキャベツたっぷり塩ラーメンにしました。

潮風の香る気持ちのよい海沿いを歩き、23番札所薬王寺を打った後は、蓄積した疲れを癒やすため近くの薬王寺温泉に入りゆっくりしました。

10日目。牟岐町を歩いていると「お遍路さん」と声をかけられました。牟岐署の向かいに接待所に寄っていくといいと言われました。

この遍路小屋が接待所になっていました。

中に入ると、コーヒーとお菓子をいただきました。お遍路では甘いものは全然買ってなかったので、お菓子が美味しくて美味しくて、意地汚いですがたくさんいただいてしまいました。

お接待をしていただいたお母さんたちもやはりお遍路の経験があるようで、いろいろとアドバイスをしてくれます。

この先高知に入ったら30キロはコンビニやスーパーや店は一切なく、人もほとんど住んでいないような場所だから、その前に3日分の食料を買い揃えておくように言われました。

最後にお菓子を好きなだけ持っていきなさいと言われビニールに入れたら、遠慮しないでもっと持って行けと袋いっぱいのお菓子をいただいてしまいました。涙が出るくらいありがたかったです。

この先まだまだ大変な道のりだけど、がんばって歩きなさいよと送り出していただきました。

この日は海岸で自炊。明日からの高知入りに備えて宿に宿泊し、英気を養いました。次の24番札所最御崎寺(ほつみさきじ)のある高知県室戸岬までは50キロ、あと2日はかかりそうです。

ソライロノート

どしゃぶりの雨、足の痛み、第二、第三の遍路ころがしと次々と試練が降り掛かってきました。最初は行き当たりばったりで歩けるところまで歩いてきましたが、体にはガタが出始めていました。自分の限界に挑戦しながら、歩けるところまで歩こうと思っていましたが、四国の景色を楽しみながら自分のペースで歩きたい!という気持ちにだんだんと変わっていきました。

お遍路文化を大切にしている徳島の方々に背中を押され、はじまりの地、阿波の国のお遍路が終わりを迎えました。次回はさらなる試練の地、土佐の国に入ります。

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